ヨーロッパ直送・外資系ビジネスマン兼作家のブログ


by stevebrussels
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【円い、まるい世界】

「企業再生の仕事をやってると、カミュの『異邦人』を読み返しても、不条理と思えなくなるんだ」・・・昨年末、ピエール・ガニェールという溜池の仏飯屋で富山和彦氏と会食したとき、こんなお話を伺った。私はその話を聞きながら、頭の中で、森羅万象全てを包含するような巨大な円をイメージしていた。

鈴木大拙は「無分別の分別「円融無碍」「即非の論理」等のコトバを使って、これらが東洋的思考の要だと喝破した。円融無碍、つまり円融自在、事事無碍の世界とは何か?・・・簡単にいえば、「色即是空、空即是色」のことである。零即無限、無限即零の世界。この境地に達すると、矛盾や排中は、もはや無関係になる。

近代文明は、西洋的な「二分性」を基に発展してきた。創造主と人間、主客、我他、善悪、白黒、友敵、愛憎など、一神教的な観点から全てを分け、制した上で、解(らしきもの)を導いてきた。物事の一般化、概念化、抽象化、つまり科学や法律などは、全て主客の対立(二分性)から生まれる。

一方、その対極にあるのが「不二性」の世界だ。東洋では伝統的に「分化」(主客の対立)が起こる前から物事の全体を捉えようとする。全てを一緒くたにして「巨大な円」の中でドロドロに溶かしてしまう。これが円融無碍の本質ではないだろうか。

そして、ここが重要だが、二分性から不二性にワープすると、「空」(くう)という世界を垣間見ることができるようになる。ワープした瞬間から、不条理は条理となり、条理は不条理となり、二つは渾然一体化する。これが先ほどの富山氏のいう世界であり、自性見という。

21世紀に入り、何事も「A or B」と分けてしまう西洋的な「二分性」の世界、論理万能神話には限界があることに誰もが気づきはじめている。分極した相対の世界は、必ず、対立・対抗・争いの世界へとつながっていく。世界中の紛争や対立の原因はそこにある。

二分性 v.s. 不二性・・・どちらも完璧ではない。だが、二分性一本槍では明らかな歪みが出じている今、二分性を超越しそれを包含する力(不二性)の重要性を再認識すべき時期を迎えているのではなかろうか。私はそれが日本の強みであり、そこに21世紀の人類繁栄を担保するヒントが隠されているように思う。
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by stevebrussels | 2011-02-19 19:46